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ご両親へ向けてのセクマイ指南~親がよくする勘違い編~

堀川歩セクシャルマイノリティの当事者は、セクマイであることの悩みのほか、両親の理解が得られないことでの悩みも大きな問題です。友人に理解をしてもらうことと、両親に理解をしてもらうことの大きさは全く違います。最も身近な存在から自己を否定されてしまうことで、精神的に追い詰められ、場合によって自殺にすらなってしまうケースもあるわけです。ここでのお話しは難しいこともあるかと思いますが、どうか前向きな気持でご参考にされてください。

親がよくする勘違いQA

親がよくする勘違いの巻

クエスチョン一見して身体は健康なようです。セクマイは、心の問題、持ち様ではないのでしょうか?

GIDの場合は、外見上の問題はないだけに、お子さんから手術のお話しが出た際に、「五体満足なのに身体にメスを入れるなんて!」というように発してしまわれた方もおられるのではないでしょうか。「一見何の問題もない」「健康体である」「心の持ち様」「性別というものは、本来生まれながらにして、授かったものであって選ぶことではない」というお気持ちを分からないではありません。しかし、GIDの方は多く存在し、人に言えない悩みを抱え苦しんでいるという現状があるわけです。

GIDが何故に存在し、その原因は・・、というようにお答えできれば、納得もできるところでしょうが、残念ながら、明確な原因は解明されておりません。説としては、母親が妊娠中にストレスを受け、ホルモンバランスが崩れ、身体的性別とは一致しない性別への脳の性分化が起きた為とも言われておりますが、はっきりとそうと言い切れるものではないようです(このような説を見て、ご自分を責める母親もいるようですが、これは一例でにすぎませんし、誰を責めることもできません)。

いずれにしても、当事者である一個人としては、性同一性障害を障害でも病気であるとも思っていません。そして、この心と身体の“不一致”自体についての違和感に、「自分の勘違いでは?」というような疑問はなく、明確に一致していないことが分かっているということを、少しでも理解してもらえるとありがたいです。

クエスチョン一時的な気持ちの問題/兆候なのでは?

確かに、中には一時的に、「自分は男/女なのかもしれない」と思い込み、治療を進めていってしまうケースもあるようです。そして、進めていったものの、後々「違った」「こんなはずじゃなかった」なと思い自殺を計ったり、元に戻ろうなど思われるパターンもあるようです。結果としてそこ(本人及び医療機関)に対して、厳しい目を向けられることもあります。しかし、それはあくまでもGIDという言葉が、医療用語として認知をされている結果として、判断ミスなどと思われがちなところにあるのかもしれません。けれど、そもそも、GIDという人種はいないのです。(図1参照)

性自認グラフ

この表を見れば、そもそも人間には、性別や性癖が2種類ではないことからはご理解いただけると思います。「純男(性自認男/性指向女)、純女(性自認女/性指向男)」とされている方達でも全員が全員、自分に対する性自認や性指向は、同じレベルでな訳ではありません。中には純女であるけれど、男気があると言われるような方は万といますし、「基本は異性が好きだけれど、同性でも問題ない。人によっては同性に恋愛感情を抱く」など細かく見て行けば、純女、純男と言う概念すらもないのではと思えなくもありません。なお、GIDの中にもいくつかパターンがあります(図2参照)。

トランスジェンダーの説明

このように、異性の格好をすることで満足な方(※仕方なく我慢して生活をされているケースもあります)手術を求める方、社会的に自分が思う性指向で生きていければ、手術はしなくても問題ないと思われている方、などに分かれてきます。
ということであれば、結局は本人が何を望み、どういう自分でありたいのかということによって治療などをおこなってゆくということに、結論としてはなるというわけです。

その場合であれば、手術せずに済む方向に意識を持っていけばよいのではないか?意識の持ち様ではないか!と思われるかもしれませんが、そういう訳ではありません。
「車が欲しい、コレが食べたい」などと言う私欲的な欲求ではなく、
お腹が減る→「食べたい」
眠気が来る→「眠たい」
というような、人間であるが故に自動的にわき起こる欲求と同じことなのです。

当事者としても、うまく説明ができなかったり、普段このような会話を日常でする機会というのもないわけで、ましてや心の発育もまだ未熟な時期であれば、なおさらうまく伝え、また考えてゆくことは難しいものです。当事者でも説明しづらいものなわけですから、理解をしていただくハードルは高いものなのですよね。

クエスチョン育て方を間違ってしまったのでは?

堀川コメント親御さんの中には、「育て方が悪かったからこうなってしまった」と思われる方もおられるようですが、そんなことは一切ありません。逆に聞かせていただきたいのは、何故、間違いなのですか?人を人として好きになることは間違いなのでしょうか?男として産まれたならば、男として生き、女として産まれれば、女として生きてゆくことができなければ、それは間違いなのでしょうか?
もちろん、子どもの事を心配してという気持ちはわかります。けれど、一番身近にいる親という存在に自分を否定されてしまったら、子どもは一人苦しむか、家ではない所で自分を受け入れてくれる場所を求めるようになってしまいます。それは、本当の意味で子どもと向き合い、心配しているということなのでしょうか?個人的にも、当事者としての葛藤があったため熱くなってしまいましたが、改めて申します、決して育てが悪かったからということではありません。育て方が悪かったから・・、このような事を言われてしまいますと、前提は、GID、セクシャルマイノリティであることが悪いことということにもなってしまいます。くどいようですが、子ども達は誰にも話せずに悩んでいるのです。その悩みの中で救いとなるのは、まずは両親なのです。すべてを一度で理解される必要はありませんが、お子さんの話しを聞き、向き合ってあげてください。

クエスチョンいつかは治るものなの?治療方法はあるの?

GID・セクシャルマイノリティは、病気や障害ではありませんので、上で例をあげたように、ケースとして勘違いだったということはあっても、「治る」という類のものではありません。この状態が、本人にとって“自分自身”であり、治すべき病状はありませんので。
もちろん、心と身体の不一致への悩み、孤独感はありますから、精神的に調子を崩す可能性もありますし、自殺すらはかってしまうということもなくはありません。なお、ご両親が、お子さんからのセクシャルマイノリティの告白に大きな抵抗を示すのは、手術をする、となった場合かもしれません。病気でないいじょう、手術をせずとも生きてはゆけますし、手術の内容を聞けば、そのリスクに躊躇する気持ちを持つのは当然です。
けれど、本人が「生きる」ということだけをみれば、性別というのはあまり関係のないことかもしれませんが、生きて生活をし、自分自身を保つためには、手術は必要なものといえるのです(当事者の中には手術は必要ないという方もおられます)。
この説明だけで理解をされるのは難しいと思います。ご相談をいただければ、全力でお話しをさせていただきますよ。

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